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2023/09/05/火

【イベントレポート】プロが本気でScratchでゲーム作りしてみた:前編 〜企画・デザイン・サウンドのお話〜

CATEGORY : Tech Kids School プログラミング教育 東京渋谷校

「ゲームクリエイターになりたい!」
「プロが作るような、すごいゲームを作ってみたい!」
Tech Kids School(テックキッズスクール)に通う生徒たちから、多く聞かれる声です。

そこで特別企画として、Tech Kids Schoolに通っている生徒たちが、実際にサイバーエージェントで働くプロのゲームクリエイターと交流できるイベントを2023年8月21日に行いました。約100名の親子が参加し、大いに盛り上がった当日の様子をレポートします。

イベントは「プロが本気でScratchでゲーム作りしてみた」と題し、
企画・プログラム・デザイン・サウンド・エフェクトと、それぞれの道のプロクリエイターがチームを組んで、Scratch(スクラッチ)でゲーム開発をしたら、どんな作品ができるのか、作品紹介を通じて、ゲームクリエイターの仕事を体感できる内容です。

Scratchは、命令が書かれたブロックを組み合わせることでプログラミングができる、世界中で最も利用されている子ども向けのプログラミング学習ソフトです。

プロのゲームクリエイターが、Scratchでゲームを作ることは通常はありませんが、今回は子どもたちが“プロの実力”を体感しやすいように、子どもたちと同じツールを使い、ゼロから完全オリジナル作品を開発してもらいました。

この度、本気でScratchでゲーム開発をしてくれたのは、サイバーエージェントのゲーム・エンターテイメント事業部(SGE事業部)として、株式会社アプリボットに所属する7名の特別チーム

当日会場には5名のクリエイターが登場し、ゲーム実演、開発におけるそれぞれの役割、生徒たちからの質疑応答を行いました。

それぞれのお仕事内容は順にご紹介しますが、まずはゲーム作品のプロモーション動画をご覧ください!

プロモーション動画も本格的なクオリティ!
実際のゲーム作品『ツインパレットシューターズ』は、こちらからプレイいただけます!

『ツインパレットシューターズ』

ゲーム内容 2人プレイで協力しながら、敵のUFOを破壊し賞金を稼ぐシューティングゲームです。
ルール プレーヤーは自分のロケットと同じ色のUFOしか破壊できません。
遊び方 ・青ロケットの人は、上「Eキー」、下「Dキー」、左「Sキー」、右「Fキー」。攻撃は「Qキー」を押します。
・赤ロケットの人は、上「↑キー」、下「↓キー」、左「←キー」、右「→キー」。攻撃は「Pキー」を押します。
・自分のロケットと同じ色のUFOを攻撃して賞金をゲットします
・UFOにぶつかったり、壊せない壁にぶつかると賞金が減ります
・次第に難しくなりラストは…!協力コマンドを使おう!

 

お楽しみいただけましたでしょうか?
こんなにも本格的なゲームをどうやって開発したのか、気になりますよね。

 

最初に登壇したのは、「企画」を担当した児玉真佑さんです。

「まず、ゲームができるまでの大まかな流れを図にしたのがこちらです。
ゲーム作りはまず、企画から始まります。僕はこのゲームの企画を担当しました。」

「とにもかくにも、ゲーム企画が面白くないと、面白いゲームができるわけがないんです。僕は、実際にプログラムを書けるわけでも、キャラクターデザインができるわけでもないので、それぞれの才能を持ったクリエイターたちに、『こういう面白いゲームを作ろう』と提案します。みんなに面白そうと思ってもらわないと始まりません。」

「今回はTech Kids Schoolから条件をもらいました。Scratchで作ること、小学生が楽しめること、2人で遊べるゲームであること。
遊んでくれる人のことを考えてゲームの企画を考えます。今回の場合は、小学生が2人で楽しめるもの。2人で遊ぶにはどういう形があるか、競争やバトルものなど色々と考えましたが、『協力するゲーム』にしようと思いました。」

「『協力』というコンセプトを決めたら、具体的なテーマや、どう面白さを出すのか、ひたすら考えます。パズル、クイズ、アクション、RPG・・色々検討して、シューティングゲームにしました。これは完全に僕の趣味です。
自分が本当に楽しいと心から思えるものを考えなければ、このあと他のクリエイター達に伝えられない。自分のアイディアを人に話すのって照れますよね、僕も今でも緊張します。でも、『絶対にこれが楽しい!』と自信を持って言えるまで真剣に考え抜きます。」

児玉さんは、今回の作品のこだわったポイントや裏側なども楽しくお話ししてくれました。

 

次に、デザイナーの今福康仁さんが登場。

今福さんは、ロゴデザインやゲームUIを担当しました。
今回初めての試みとして「生成AI」を活用した話を教えてくれました。

「イメージを言葉で入力すると、AIが自動で画像を作成してくれるテクノロジーが話題になっています。それを、ロゴデザインで活用してみようと思いました。
例えば、『カラフル』で『元気な感じ』の『宇宙がテーマ』の『ゲームのロゴ』という感じに指示すると、あっという間に大量のデザインを出してくれました。数分で100個以上の画像が出てきました。僕が自分で100個作ろうと思ったら1週間はかかってしまいます。」

これには会場から思わず「すごい・・」と、どよめきが起きました。今福さんは

「この中からいくつかに絞っていき、児玉さんと方向性を決めました。大量のアイディアの中から、良い悪いを判断するにはやっぱり人間の経験が必要です。
それを元に、最後はゲームのイメージに合うもの、ゲームに込めた思いを表現できるものを作成しました。AIの出したものの色やバランスを調整したり、AIは文字が書けないので、タイトルの文字を作成して完成させました。アイディア出しの時間が短縮できた分、デザイン調整を丁寧にできました
クリエイターはみんな最新技術に触れたり、海外の情報なども自ら勉強しています。」

 

続いては、サウンド担当のクランキーさんが登場。

「サウンドクリエイターというと難しそうと思うかもしれないけど、みんなも日常の中で音を作っているんですよ。手を叩いたりもそうだし、お風呂で適当な鼻歌を歌ったりしませんか?音を作り出すものは周りにたくさんあります。
僕は何でも使います。例えば、きゅうりをぽきっと折る音を録音してみたり。何でも素材にできますよね。録音した音をパソコンに取り込んで、調整したり加工したりします。」

「今回のゲームのBGMや効果音を作るときは、まずゲームのイメージから考えました。かわいいキャラクターがいて、小学生が楽しむゲーム。でもシューティングゲームだから勢いがほしい。さらに宇宙っぽい音もほしい。そうやってイメージを膨らませながらBGMを作りました。」

「曲を作るだけではなく、ゲームの動きに合わせた音もつけます。このゲームで、ラスボスが登場する直前は無音になっていたのに気がつきましたか?あえて無音にすることで緊張感を演出することもできます。」
と、プロのテクニックも教えてくれました。

 

この記事もだいぶ長くなりましたのでここで前編を終え、
続く後編では、いよいよScratchのプログラム画面をお見せします!

▼後編はこちら
https://techkidsschool.jp/school/2023/09/05/event_report_2.html